2022.03.02コラム

養育費とは別に大学の費用、塾の費用などは出るのでしょうか?

養育費は、裁判所が作成した養育費算定表をもとに算出されることが通常です。
算定表に基づいて算出される養育費の中には、公立中学校や公立高校を前提とした学校教育費は含まれていますが、私立学校の学費、大学の学費、塾代などは考慮されていません。

お子さんが、
・私立学校に進学した場合
・大学に進学した場合
・進学のための塾に通いたいという場合
これらの金額は多額に上る可能性がありますが、
お子さんを養育する一方の親のみがその費用を負担しなければならないのでしょうか。

養育費は、本来当事者の合意で定めることができるものですので、相手との間で話し合い、学費や塾代を加算することにつき合意ができればそれが望ましいことです。
もっとも、そのような合意まではないという場合、養育費とは別に、これらの費用を相手に払って貰うことができるかについてお話します。

私立学校の学費・大学の学費は払って貰える?

相手が、お子さんが私立学校や大学に進学することを承諾していた場合には、学費の負担を請求しうるといえます。
現にお子さんが私立学校や大学に通っている場合には、相手が反対していたなどの事情がない限り、承諾があったと言いやすくなります。

相手が、私立学校や大学に進学することを承諾していない場合でも、双方の収入・学歴・地位などの状況からその負担が不合理でないときには、学費の負担を求めることも可能です。

それでは、相手に私立学校や大学の学費の負担を求めることができる場合に、実際どのように学費を分担することになるのでしょうか。

はじめにお話ししましたとおり、養育費には、公立学校の学校教育費が含まれていますので、この点との調整が必要です。
計算方法としては、公立学校の学校教育費と私立学校や大学の学費の差額部分を、ご本人と相手の基礎収入で按分する方法などがあり、相手が高額な収入を得ている場合には異なる考慮が必要となります。

相手に私立学校や大学の学費の負担を求められるのか、どの程度の負担を求めることができるかは、具体的な事案によっても変わってきますので、詳細はご相談ください。

塾代は払って貰える?

塾代は、学費のような学校教育の費用という位置づけとは異なり、あくまで任意の学習となるため、学費よりも優先順位は下がり、相手に負担を求めることが難しくなる面があります。

もっとも、塾代についても、相手の通塾に対する承諾、双方の収入・学歴・地位などから負担を求めることができるケースもあります。
お子さんに発達障害がある場合など、学習補助的な塾に通学させる場合には必要性も高いと考えられます。
まずは個々のご事情をお聞かせ頂ければと思います。

これまでお話ししてきました私立学校や大学の学費、塾代の加算については、婚姻時には婚姻費用の問題として、離婚時には、養育費の問題として現れてきます。
婚姻費用や養育費を取り決める際には、これらの費用の加算も視野に入れることが大切です。

また、離婚時には学費や塾代の加算を取り決めていなかったという場合でも、お子さんの進学など事情の変更が生じた場合に、養育費の増額を求めていくことが可能です。
すでに養育費を取り決めてしまったという場合でも、請求可能なケースもありますので、ぜひ一度ご相談ください。