2023.10.13女性の離婚問題

離婚したら、自分と子どもの苗字はどうなりますか?

「選択制夫婦別氏制度」の議論が昨今盛んですが、今、離婚をお考えの女性の皆様は、婚姻したときに夫の苗字(氏)に改姓された方が大半ではないでしょうか。

では、離婚したら改姓した苗字はどうなるんでしょうか。

苗字は、社会生活に密接に関わってくるものですので、非常に気になりますよね。

また、お子さんの親権者になったときに、お子さんの苗字はどうなるのかということも、お子さんの学校生活、友人関係などに影響しかねませんので、大きな関心事だと思います。

まず、基本的に、離婚時に何も手続をとらなければ、法律は、「復氏」(ふくし)、つまり、婚姻前の苗字(旧姓)に戻ります(民法767条1項)。

しかし、強制的に旧姓に戻ってしまうのではなく、離婚後3ヶ月以内に届け出れば、「離婚の際に称していた氏」、つまり、婚姻中の苗字を使い続けることができます(民法767条2項)。具体的には、「離婚の際に称していた氏を称する届」というのを提出します。

また、お子さんの苗字は、元の苗字を使い続けるのか、親権者となった親の旧姓を名乗るのかについて、15歳以上のときはお子さん自身が決定し、15歳未満のときは親権者が決定することになります。

いずれにしても、お子さんの苗字は、離婚後、家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」をする必要がありますので、忘れないようにしてください。

ここで気を付けていただきたいのは、親権者とお子さんは同じ苗字にしないと、同一戸籍に入ることができません。

もっとも、同一戸籍に入らずとも、親権者であることは変わりないのですが、同一戸籍にしたいというご希望がある場合はご注意下さい。

また、婚姻中の苗字を使い続けると、その後、違う方と再婚し、その後離婚した場合に、自分の旧姓には戻れなくなります。

具体的には、旧姓がA、元配偶者の苗字がBで、離婚時にBを選び、再婚相手の苗字のCになった後、さらに離婚するとなったとき、選べる苗字はCかBのいずれかだけで、Aには戻れなくなります。

ここまでは法律的なお話です。

実際、「離婚するとき、他の皆さんはどうされているんでしょうか」と尋ねられることがよくあります。

ご相談いただいた方によりケースバイケースですが、お子さんがいなかったり、お子さんが小学校に入学する前の場合は、苗字を旧姓に戻す方の割合が多いです。

また、お子さんが中学生、高校生となると、長くその苗字で暮らされていることもあってか、婚姻中の苗字を使い続ける方の割合が多いです。

苗字は生活に直結することです。離婚の相談の際にあわせて、「苗字や戸籍で気になることがある」と、お気軽にご相談してください。