2023.10.20男性の離婚問題

子どものためになるように養育費を払いたいのですが、どうしたらいいですか?

「妻に親権を譲るのはやむを得ないのですが、妻は浪費家なので子どものために養育費が使われるか不安です。」、「妻には養育費を払いたくないのですが、子どもの塾代や私学の学費は出してあげたいです。」等、相談されることがあります。

離婚もやむを得ないと決断されるご夫婦の場合、経済的な価値観や、お子さんの教育方針などの違いがあることも多いので、養育費を渡してもお子さんのために使われるのか、逆に、お子さんのためならもっと支援をしたいのだけどというご心情になられることは十分理解できるところです。

ここで、養育費は、「子どもの監護や教育のために必要な費用」です。

そして、養育費の額は、当然、当事者双方で協議し、合意できれば、その額となります。

もっとも、双方で意見が対立したときは、お子さんにかかる費用を個別具体的に算出するのは困難です。

そこで、家庭裁判所は、養育費を払う側(義務者)と養育費を受け取る側(権利者)の収入等の経済状況、お子さんの年齢に応じ、いわゆる「標準算定表」というのを基本とし、衣食住、教育費、医療費等の「必要最低限の生活費の額」を決定します。

裁判所のホームページに「養育費・婚姻費用算定表」が載っているのが、この「標準算定表」のことですので、一度ご覧ください。

そうしたところ、双方で養育費が決まらないときは、「元妻が浪費家なので不安」「妻には払いたくない」というときも、元妻にお子さんの親権を譲り監護を任せるときには、最低限の費用として、「標準算定表」の金額は支払う必要があるというのが弁護士の意見となります。

しかし、それ以上の部分、たとえば塾代であるとか、私学の学費である等は、自身が直接塾や大学に振り込む等の方法で負担することができますし、ご自身でお子さんのために学資保険をかけて大学入学時にお子さんに直接お渡しすることもできます。

また、「教育資金贈与信託」という制度を使う事もできます。この制度は、簡単にいうと、お子さんの塾や大学からの請求書や領収書等を信託銀行等に提出したときに限り、自分の預けたお金が元妻に払い戻される制度ですので、お子さんのために使ってほしいというお気持ちに沿うものです。

この教育資金贈与信託は、お子さんからみたときの祖父母も利用でき、一定金額までは贈与税の特例が受けられます。

このように色々と方法はありますので、お子さんにとって一番いい経済的支援は何か、ぜひ一度ご相談いただけましたらと思います。