2025.06.16コラム

誰のための共同親権なのかー子供は親の所有物ではないー

「共同親権」の施行が来年に迫っています。

今まで、離婚の際、親権者を父母のいずれか一方に決定しなければならないという「単独親権」制度が、「共同親権」も選択できるようになりました。

これは、非常に抜本的な変革です。

もっとも、この「共同親権」は誰のためのものなのでしょうか?

「共同親権」制度が導入された趣旨は種々ありますが、まず、離婚後、子どもと一緒に暮らさない親についても、共同親権制度によって「親」意識が高まり、子どもの養育に関する責任感がより強くなり、その結果、単独親権の場合に比べると、養育費が適切に支払われる可能性が高まると言われています。

また、父母の双方が親権者として、責任を持って子どもの養育に携わっていれば、親子間の面会交流も円滑に行われやすくなるという狙いもあります。

いずれにしても、「共同親権」は、「子ども」の立場からして、自身の養育・成長について、双方の親から、経済的にも精神的にも責任を果たしてもらいやすくなるための制度なのです。

現在の単独親権制度のもとで、よく「親権争い」という表現がされます。

しかし、「親権」は父母が取り合うものではありません。

また、単独親権者になった方が子どもを自身の所有物として扱うことが許されているものでもありません。

今後、共同親権制度も選択できるようになったことを受け、より一層「子ども」目線で、父母は親としての責務を果たしていかないといけないという意識が重要になってくると考えます。