2025.07.27コラム

愛のないパートナーと定年退職後も一緒に暮らせるか

厚生労働省が2022年に発表した「離婚に関する統計」によると、日本の離婚件数は2003年以降減少傾向が続いており、都道府県別にみた離婚率も、2005年と2020年を比較すると、すべての都道府県で低下しているそうです。一方で、同居期間別にみると、同居期間20年以上(いわゆる「熟年離婚」)の割合は1950年以降上昇傾向にあり、2020年には21.5%となっているとのことでした。

 

熟年離婚を考える理由にはさまざまあるでしょうが、ご相談をお受けする中で多くの方が、「定年退職後の生活を考えたときに相手とは一緒に暮らせないと思った」とおっしゃられます。

これまでは夫が仕事で家を空けている時間が多かったので我慢できたが、定年退職後、夫が家にいるのが耐えられないので離婚したい、という女性からのご相談は、何となく想像がつく方が多いのではないかと思います。

ただ、「定年退職後の生活を考えたときに相手とは一緒に暮らせないと思った」とおっしゃるのは女性ばかりではなく、男性からもそのようなご相談をお聞きすることもあります。男性の中にもやはり、今までは仕事で家にいない時間が多かったので妻との関係が冷えきっていてもそこまで気にならなかったが、家にいる時間が増えることを考えると居心地が悪く、耐えられない、とおっしゃられます。

結局、主に夫が外で働き、妻は家事育児を中心の生活、という家庭で、それぞれが自分の役割をこなすのに精一杯になっているうちに少しずつ関係に亀裂が入り始めていたものの、様々な理由から長年目を逸らし続けた結果、夫の退職というイベントを機に向き合ったときに、修復不可能なレベルにまで亀裂が大きくなってしまい、離婚という結論に至るものと思われます。会話がなく一緒の空間にいることすら苦痛に感じる相手と生活を続けるというのは非常にストレスのかかることです。長い人生を考えると、そのような決断も決して悪いことではないのでしょうか。

 

ただ、熟年離婚となると、やはり気になるのは老後のお金の問題です。財産分与する側、される側どちらにとっても、老後の生活に直結する問題です。離婚後も安心した生活が営めるよう、多少手間に感じるかもしれませんが、財産分与は適正な形で行うのが望ましいでしょう。

当事務所では熟年離婚についても多数の取扱い実績がありますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。