2024.06.25コラム

共同親権 今後の行方

2024年5月17日、共同親権導入等を盛り込んだ改正民法が、参議院で賛成多数で可決・成立しました。これによって、2年以内に共同親権制度が始まることが確定しました。

要綱が閣議決定された段階では、協議離婚の際に定めるべき「子の監護の分掌」とは何か、共同親権を選択した場合に具体的にどのような行為について共同して行わなければならないのか、単独で行使できる監護及び教育に関する日常行為とは何か、については明確にされていませんでした。

では、法律が成立したことで、この点が明確になったのでしょうか。
答えはNoです。

国会の審議でも、これらの点が明確でないことを問題視する意見があったようです。
その結果、附帯決議で次のような内容が明記されました。

・親権の単独行使の対象となる「急迫の事情」、「監護及び教育に関する日常の行為」、「特定の事項」や、離婚時に定めるべき「子の監護の分掌」等の概念について、その意義及び具体的な類型等をガイドライン等により明らかにすること。
・上記ガイドラインの策定等にあたっては、DV・虐待などに係る知見等を踏まえることや、DV被害者等の意見を参考にすること。
・改正内容の周知に当たっては、親権の行使を受ける側、特に医療や教育など、それぞれの場において適切な処理がなされるよう、分野ごとに個別に必要な取組を行うこと。
・当局からの情報提供に当たっては、Q&A方式等、受け手に分かりやすく伝わりやすい工夫を心掛けるとともに、国民の疑問等に答えられるよう留意すること。

共同親権は、子どもの利益のために導入された制度です。しかし、導入された趣旨に沿って適切に運用されなければ、本来守ろうとした子どもの利益が害される結果になることもありえます。
そのような結果にならないよう、なるべく早く解釈運用方針が明確にされることを望むとともに、改正法施行後は、適切に運用されることを切に願います。

当事務所では、共同親権について今後も引き続き情報収集を行ってまいります。