2022.04.23コラム

モラハラに耐えられないのですが離婚原因になりますか?

近年配偶者からのモラルハラスメント(通称:モラハラ)被害に苦しみ、離婚を決意される方からの相談が増えています。

目に見える暴力はなくとも、相手方からの存在を否定するような発言、見下すような言動、長く続く無視…どれも暴力と変わらないほど苦しいものですよね。

モラハラの代表的な内容としては、配偶者からの人格的な非難、無視、暴言などが挙げられます。

ご本人がモラハラ被害に耐えかね、意を決して相手に離婚を求めるも、相手は離婚原因と挙げる言動には根拠がない、そんなことは離婚原因にならないなどとして、頑なに離婚に応じない場合、モラハラを原因に、離婚することは可能なのかについてお話ししたいと思います。

民法770条は、我が国における離婚原因を定めており、
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
⑤婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
の5つが挙げられています。

モラハラ自体は、①~④には当てはまりませんので、⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはめることができるかを考えることになります。

相手の所作や発言等は、暴力のような身体的な虐待行為と異なり、目に見えるものではありません。もっとも、それはモラハラが周囲に分かりにくいということにすぎず、モラハラについても、度重なるモラハラ行為により被害者が深く傷つき、婚姻関係の維持が困難な状況に陥る可能性があることに変わりはありません。
かえってモラハラ行為には巧妙な面があり、加害者が対外的には人当たりが良いなどの場合には、周りの理解を得ることも難しく、お一人で抱え込まれる可能性も高いのではないかと思います。

モラハラ行為についても、その内容・程度・期間等によっては、これを離婚原因とすることは十分に可能です。

モラハラでの離婚で特に重要となるのが、日常的にモラハラ行為が行われてきたことの立証です。
不貞行為や犯罪行為などとは異なり、一つ一つのモラハラ行為はそれ自体が婚姻関係を破綻させるだけの決定的な出来事とまで言いづらいかもしれませんが、その積み重ねを丁寧に立証していくことが重要となります。

離婚を考えておられる場合には、相手方がモラハラ行為を否定したり、正当化することに備え、日々の会話を録音する、日記を付けるなどの方法により、日常的なモラハラ行為の証拠作りをしておくことをお勧めいたします。

耐え続ける必要はありません。
モラハラに耐え続ける人生から解放され、新しい一歩をぜひ踏み出していただきたいと思います。