2023.10.10男性の離婚問題

男性側が親権をとることはできますか?

男性でお子さんがいる場合、「一緒に暮らし続けたいけど、親権がとれないのでは」と悩まれる方も多いと思います。

一般的に、男性側、つまり、父側が親権をとることは難しいとされています。

ただ、父母いずれも親権者になりたいと希望した場合、裁判所が、「子どもには母親が必要」というような判断基準で、親権者を決定しているわけではありません。

ひと昔前の日本では、「父は外で働き、母は専業主婦またはパートをする家庭」が一般的でした。このような役割分担・生活スタイルですと、母側が必然的にお子さんの監護を担う時間が長くなり、また、お子さんとの関係が密になります。裁判所は、この点に着目して、母側に認めることが多かったのです。

つまり、裁判所は、同居中は、①母側が「主たる監護者」(お子さんの生活を主として監護養育している者)としてお子さんを育て、②「特に問題のない場合」がないのであれば、③お子さんのためには、今後も、監護養育していくべき親権者としては母側が望ましいであろうという価値判断に基づき、親権者を決定していると考えられています。

対して、今は令和、父母ともにフルタイムで働き、お子さんの保育園の送迎、食事、お風呂、寝かしつけなど、父側も相当担当しているというご家庭も多いのではないでしょうか。

このような場合は、①父側も監護養育を相当程度担当していることになるので、「主たる監護者」を簡単に決めることはできません。

そうすると、次に、母側に、②「問題があるか」ということが判断基準になってきます。

ここで、「問題」とされているケースとしては、まず、母側が精神的に不安定で、子に危害を加えかねない場合や(名古屋高裁令和2年6月9日決定)、母側が精神疾患で、母方親族にほぼ監護を任せ、子を放任し、小学校に入学する手続すらできていない場合(福岡家裁平成26年3月14日審判)など、「母側の精神面が影響し、子育てができない場合」があります。

また、母側が異性交遊のために子を度々友人に預け放任している場合(東京高裁平成28年5月13日決定)など、「母側が不貞や異性交遊をし、さらに、子を放任している場合」があります。

さらに、お子さんが小学校の中・高学年程度(10歳~12歳)以上であれば、「父、母、どちらと住みたいか」ということについて明確な希望を持っている場合があります。裁判所は、このような場合は、お子さんも当然一人の人間ですので、③お子さんのために、お子さんの意思を尊重します。

お話しさせていただいたのはほんの一例です。

「どうしてもお子さんと一緒に暮らしたい、親権をとりたい」という希望をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談下さい。