2023.12.21男性の離婚問題

元妻が再婚したら養育費はどうなりますか?

前回、ご自身が再婚した場合、元妻との間の子との間の養育費の支払いはどうなるかという記事を掲載いたしました(詳しくはこちらをご覧ください)。

今回は、ご自身ではなく、元妻が再婚した場合の養育費について、ご説明いたします。

再婚相手と子どもが養子縁組をした場合には、原則として実父の扶養義務は消滅し、以降の養育費を支払う必要はなくなります。
ただし、再婚相手も元妻もともに収入が低く、子どもに対しての扶養義務を十分に果たすことができないときには、例外的に、引き続き実父が養育費を支払わなければならないこともあります。
また、養育費について取り決めをした時点で、元妻の再婚相手と養子縁組をすることが予測できた場合には、そのことを前提として合意した以上、養育費減額が認められないこともあります(事情変更の考え方についてはこちら)。

一方で、再婚相手と子どもが養子縁組をしなかった場合はどうなるでしょうか。
この場合、たとえ再婚相手と子どもが一緒に住んでいたとしても、2人の間には法律上の親子関係がない以上、再婚相手が子どもを扶養する義務はなく、実父が引き続き養育費を支払わなければなりません。
ただし、子どもが事実上再婚相手の養子となっており、かつ、再婚相手が実親よりもはるかに収入が多く、実親からの給付がなくとも子どもの監護に支障がない場合には、例外的に養育費の減額が認められる可能性があります。
また、一度は再婚相手と子どもが養子縁組をしたにもかかわらず、養育費減額を避けるために離縁し、以降も再婚相手と元妻と子どもが同居しているような場合には、離婚は仮装ともいうべきであり、信義則上、離縁はされなかったものとして扱い、養育費の減額が認められる可能性があります。

なお、もとの養育費の取り決めを裁判所の手続を使って行った場合や、公正証書を作成している場合、たとえ養育費の減額が認められる事案であったとしても、一方的に養育費の支払を止めたり減額したりすると、強制執行を受けるおそれがあります。そのため、安易に自己判断で支払いを止めないようにしましょう。