2024.09.24コラム

口約束で離婚して後悔しないためにできること

夫婦間で話し合って協議離婚した後、元配偶者との間で下記のようなトラブルが生じ、そこで初めて弁護士へのご相談に来られる方がおられます。

① 子どもの養育費の額を口約束で決めたが払ってくれない。

② 子どもの習い事の費用を全額支払ってもらうことになっていたのに支払ってもらえない。

③ 元配偶者が契約者になっている学資保険がいつの間にか解約されていた。

④ 元配偶者名義の家に離婚後も引き続き住んでいたが出て行けと言われた。

⑤ 離婚後も元配偶者が家の住宅ローンを支払ってくれると言っていたのに突然もう住宅ローンを支払わないと言われた。

 

このようなトラブルが生じた場合、離婚の際にきちんと離婚協議書を交わしていれば、協議書の内容に沿って合意内容を履行してもらうように相手に主張することができます。しかし、離婚協議書を作成しておらず、なんとなくそれでいこうという程度にしか話をしていなかった場合には、いざ相手の気が変わってしまうと、そもそも合意があったのか、どういう合意があったのかを証明することができなくなってしまいます。

 

そうすると、結局、再度、離婚に伴う諸条件についての話し合いをせざるを得なくなります。

しかし、例えば、その時点で財産分与請求権の時効が完成していれば、財産に関する話し合いをすることは困難になります。離婚後、養育費を請求(ここでの請求は単に口頭で請求しただけではなく、調停の申立てや内容証明郵便の送付等によって請求の意思が明確に表明されたときとするのが一般的です。)した時までの養育費についてはもらえないということも起こりえます。

あるいは、離婚時に話していた内容が法律上認められるものよりも良い条件だった場合、今度はその条件を獲得できなくなるかもしれません。上記であげた例のうち、①以外は、まさにいずれもきちんと離婚時に合意内容をきちんと離婚協議書の形で残していなければ、後で同じ条件を獲得するのは難しいと言わざるを得ません。①も、口約束で決めていた額が算定表どおりまたは算定表を下回る額であれば、最低限、算定表どおりの額を確保することはできるでしょうが、算定表を上回る額だった場合には、再び同じ額をもらうことは難しいでしょう。

 

だからこそ、たとえ少々手間だったとしても、協議離婚に際して離婚協議書をきちんと作成しておくのが望ましいのです。かつ、離婚協議書を作成する場合には、単に合意内容を証拠に残すだけでなく、相手に約束を守らせる工夫をするのが望ましいです。この点、弁護士は法律の専門家ですから、どのような条項にすれば相手に履行を促すことができるか、万が一履行されなかった場合に法的手段をとれるのはどのような条項か、といったことも視野に入れて離婚協議書を作成することができます。

 

日本では協議離婚が認められており、離婚することと子どもの親権をどちらが持つかについて夫婦間で合意があれば離婚をすることができます。協議書を作るために時間をかけるよりも1日でも早く相手と離婚したいというお気持ちもあるでしょうが、離婚後の平穏な生活のため、離婚協議書を作成すること、しかも、できれば弁護士に依頼したうえで作成することをお勧めいたします。

当事務所では、当事者間での交渉で離婚条件がまとまっている方の離婚協議書作成もお受けしていますので、お気軽にご相談ください。