裁判所が公表している養育費の算定表や算定式は、収入から税金や社会保険料を支払わないといけないことや、自営業者はもちろん、給与所得者であったとしても仕事をしていれば仕事のための費用(職業費)が発生している、ということを前提に作られています。
一方で、育児休業中に支給される育児休業給付金については税金がかからず、社会保険料も免除されています。また、休業中ですから、職業費の支出も免れています。そうすると、育児休業給付金をそのまま給与と同じように扱って算定表や算定式にあてはめると、本来かかっていない費用を引くことになり不公平ではないか、という点が争われたのが本件です。
裁判所は、税金や社会保険料、職業費を必要としていないことを考慮する必要があるとの判断をし、実際に受け取っている育児休業給付金の額をもとに、給与に置き換えればどの程度の額になるかを換算したうえで、養育費を算定しました。