2024.01.31コラム

慰謝料請求は配偶者か不貞相手のどちらにするのか?(前編)

不貞をされた方からのご相談で、「不貞相手と配偶者の両方に慰謝料請求をしたい」と言われることがあります。

確かに、不貞行為は配偶者と不貞相手が共同して行った、婚姻生活の平穏を害する行為であり、配偶者と不貞相手は、連帯して責任を負わなければなりません(共同不法行為)。そのため、配偶者と不貞相手の両方に対して慰謝料請求をすること自体は可能です。
ただし、実際に請求をするときには、本当に両方に請求するのがいいか、どちらか一方に請求するべきか、どちらか一方だけに請求するのであればどちらにするべきか、慎重に検討する必要があります。

ここでポイントになるのが、①配偶者との離婚を望むかどうか、②誰に請求すればどれくらいの金額が獲得できるのか、という2点です。

①について、なぜ配偶者との離婚を望むかどうかが不貞慰謝料請求の相手方を選択するうえでポイントになるのでしょうか?
これは、円満な関係にある夫婦の間では、配偶者を相手取って訴訟等の法的手続は取らず、別の手段で穏便に解決を図るだろうに、あえてそのような手段を取るということ自体で、夫婦間の信頼関係を大きく損なう可能性があるためです。
そのため、自分としては配偶者に反省してもらいたい一心であったとしても、離婚するつもりはない、あるいはまだ離婚するかどうか迷っているのであれば、配偶者への離婚請求は避け、不貞相手に対してのみ慰謝料請求をすることをお勧めしています。

以上とは違い、配偶者との離婚を既に決断している場合は、②の視点から請求の相手を選ぶことになります。
これについては、次回のコラムで述べたいと思います。