結婚した後、家族のライフプランとして、夫の「退職金」も含めて将来設計を考える方も多いと思います。
退職金は財産分与の対象になるのか、金額はどのように算出するか、退職金が支払われるのが10年先であるときはどうか、今回は退職金にまつわる問題についてご説明します。
Q 退職金は財産分与の対象になるのでしょうか?
A 退職金は、給与の後払いの性質を有します。
そして、婚姻期間中、夫婦は相互に扶助し生計を立てていますので、この退職金も、夫婦共同で築いた共有財産として財産分与の対象となります。
Q 分与を受けられる金額はどのように算出するのでしょうか?
A 実際、夫が支給を受けた退職金がそのまま対象になるわけではありません。
勤続年数のうち同居の年数がどのくらいの期間あったかによって算出をします。
たとえば、夫が就職し5年後に結婚、その後35年勤務し、妻と別居、退職金の支給2000万円を受けたときは、
2000万円÷40年(勤続年数)×35年(同居期間)=1750万円
が分与の対象となります。
つまり、妻は1750万円の2分の1の875万円の分与を受けることができます。
Q 退職金が支払われるのが、まだかなり先です。そのようなときでも分与の対象になりますか?
A 退職金は、給与の後払い的性格を有するものですが、会社の経済状況や夫の勤務態度、会社に退職金規程があるか等によって、将来支払いがあるかの確実性が異なってきます。
退職がほぼ2、3年以内にせまっているのであれば、確実性が高くなりますので、対象になります。
他方、10年以上先の場合は、会社で退職金規程が整備されており、かつ、会社が倒産しないような大企業や公務員のときは対象になり得ますが、それ以外ですと、対象外と判断される可能性もあります。