2024.03.08コラム

どうなる共同親権①総論

2024年3月8日、政府は、離婚後の共同親権の導入を柱とする民法等の改正案を閣議決定しました。今国会に改正法案が提出される予定です。少し前に、法制審議会において、家族法制の見直しに関する要綱案が取りまとめられた際、離婚後の共同親権制度が導入される見通しであるといった報道がたくさんなされていたので、それを見てはじめて知ったという方も多いと思います。

<要綱の概要>
法案の前提となっている要綱には、次のような規律の整備等が盛り込まれています。共同親権の導入が大きく報じられていますが、それ以外にもいくつも大きな制度変更が予定されていることがわかります。

1 親子関係に関して
・父母の責務等の明確化
・親権の性質の明確化

2 親権及び監護権に関して
・親権行使に関する規律の整備
・離婚後の子の監護に関する規律の整備

3 養育費等扶養に関して
・養育費や婚姻費用等、扶養に関する費用の不払い解消のための各種措置の導入
・扶養に関する裁判手続における収入・資産情報の開示義務の明文化と制裁規定の整備
・執行手続における債権者の負担軽減

4 面会交流に関して
・親子間の面会交流に関する規律の整備
・父母以外の親族との子の交流に関する規律の整備

5 養子に関して
・養子縁組に関する規律の整備

6 財産分与に関して
・財産分与における考慮要素の明文化
・財産分与の期間制限の延長
・財産分与に関する裁判手続における収入・資産情報の開示義務の明文化と制裁規定の整備

7 その他
・夫婦間の契約の取消権の規定の削除
・法定離婚原因のうち、「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと」の削除

<今後の流れ>
本記事執筆時点(2024年3月8日)の報道によりますと、民法その他関連する法律の改正案が近く今国会に提出され、今国会での成立を目指す方針であるとのことです。
実際に制度が始まるのは、法律が国会で成立した後、一定期間を置いて改正法の施行時期が到来してからとなります。そのため、実際に制度が始まるまでにはまだもう少し時間がかかると見込まれますが、引き続き、状況を注視していく必要があります。

<施行前に離婚した場合は>
また、報道によりますと、共同親権制度が導入される前に離婚し単独親権となった場合でも、改正法施行後、家庭裁判所への申立てによって共同親権を選べるようにする方針とのことです。そのため、既に離婚が成立している方や、近々離婚成立見込みの方も、法改正の影響を受ける可能性があります。詳しくは今後、別記事で掲載する予定です。

以上、今回の家族法制の見直しに関する要綱について総論的なお話をしてまいりましたが、次回以降、特に気になっている方が多いと思われる共同親権と面会交流について詳しくお話したいと思います。