2024.11.25コラム

配偶者が複数相手と不倫をしていることが判明したとき。全員に慰謝料を請求できるのか。

配偶者に1人と不倫されていても精神的ショックは想像を絶するものですが、それが複数人、たとえば2人になった場合、不貞相手Aさんから支払いを受けてしまうと、不貞相手Bさんにはもう請求できないのでしょうか?

それともさらに請求ができるのでしょうか?

この点、裁判所は、下級審の判断ではありますが、「配偶者が複数の者と不貞行為に及んでいた場合において、被侵害利益とされる他方の配偶者の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益は、各々の不貞相手との関係では具体的かつ各別に考慮すべきであって、被告の指摘する別件和解の和解金が現に支払われていたとしても、そのような事情は原告の被侵害利益ひいては損害の判断に影響しないというべきである。」(東京地判令和2年2月10日)と判示し、不貞相手Aさんから150万円の支払いを受けていても、不貞相手Bさんから80万円の支払いを受けることができると判断しました。

なお、金額が異なるのは、不倫の期間や回数、態様等によるものです。

ですので、不貞相手側が「ほかに不貞相手がいるから私には責任がありません」と主張してもそれは認められないということになります。

もっとも、複数人と不貞をしていた配偶者自身が最も非難されるべき立場だと思うところです。