2023.12.22女性の離婚問題

祖父母(元夫の父母)に子どもを面会させないといけませんか?

夫と離婚し、ご自身が子の親権者・監護者となったとき、婚姻期間中の祖父母の言動などから、「子を父と会わせるのはいいが、祖父母とは会わせたくない」と考えることがあるかと存じます。

では、祖父母が子に面会する権利はあるのでしょうか。

判例は、「父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し,子の監護に関する処分として上記第三者と子との面会交流について定める審判を申し立てることはできないと解するのが相当」とし、祖父母に子の面会交流権を認めていませんでした(最高裁令和3年3月29日)。

しかし、令和5年12月19日、家族法制の見直しを検討している法制審議会(法相の諮問機関)の部会において、「面会交流」について新たな枠組みを盛り込んだ民法改正要綱の原案が示されました。この原案によると、新たな枠組みでは、面会交流を求める申立人は父母が原則としつつ、子の祖父母や兄弟姉妹らも可能とし、また、母以外の親族と、子との交流を実施することが「子の利益」のために特に必要である場合には、家裁は、親族と子の面会交流について定めることができるとしています。父母による面会交流の協議や申し立てが期待できず、他に手段がない場面での活用が想定されているとはいえ、将来的にこの原案が可決されますと、現在の判例が変更される可能性が高いです。

今後の動向を待つほかありませんが、面会交流は、あくまで「子」のためです。子の利益を最善に考えたうえで、祖父母の面会について検討する必要があると考えます。