著名人のお子さんが児童相談所に親子喧嘩を相談したところ、家に警察官が来て著名人である父が逮捕されるという出来事がありました。
事件の内容については詳細が分からないので安易なお話はできません。
もっとも、この出来事を受けて、「子どもが父の暴力を児童相談所に相談したら、警察が来て、父はすぐ逮捕されてしまうのか?」と心配をされる方もいるかもしれませんので、制度と現実の運用のお話をしたいと思います。
まず、国(こども家庭庁)の指針により、緊急性や重篤性が高いと判断される事案については、全国どこの児童相談所でも、受理した段階で速やかに警察へ情報提供を行うことになっています。
どのような場合かというと、①虐待による外傷、ネグレクト、性的虐待があると考えられるケース、②通報を受けてか48時間以内に、児童相談所が子どもの安全を直接確認できないケースです。
また、上記のような緊急性や重篤性が高いと判断されない事案でも、児童相談所が警察に援助を求めるべきケースと判断したときは、連携がとられます。
ここでのポイントは、「児童相談所に相談すれば、すぐに警察へ通報されるというわけではない」ということです。
父の逮捕を避けるために、子どもが虐待に遭っているのに母が相談をしない、もしくは子どもが相談をすることを止めるという選択をすることは、最も子どものためにならないのでおやめください。
次のポイントは、「警察が現場に臨場しても即逮捕になるわけではない」ということです。
臨場した警察官が、子どもや父母から事情を聴取し、必要と判断されたときに逮捕の手続がとられます。
警察官が臨場することで、父の暴力はいったん制止されますので、仮に、父が逮捕されないにしても、母子はその日のうちに避難するなどの行動がとれます。
これは、妻が夫から暴力を受けたと警察に110番通報したときも同じ流れです。
過剰な報道によって誤解が生まれるところだと思いましたので、お話しさせていただきました。
家庭内の問題は家族にしか分からない部分が多く、ともすれば大事に至ることもあります。
暴力を振るわれるのが日常の家庭の中にいると、正常性バイアスが働いて、「いつものことだから大丈夫」と認識が歪んでくることが往々にしてあります。
行政に相談することや警察に通報することは大事に至る可能性を軽減するものですので、躊躇されなくてよいというのが私(弁護士鈴木)の見解です。