財産分与・慰謝料等 金銭給付について

いざ、離婚を考えたときに、最も気になる事の一つとして、生活にまつわるお金の事があるのではないでしょうか。
 
今まで、ご夫婦としてともに生活していると、もちろん、別居する前は単身赴任でもない限り、基本的に、同じ家に住み、一緒に食事をし、生活日用品を共同で使い、お互いに保険をかけ、年金をかけているのが普通かと存じます。
 
この関係を解消するのですから、主として、以下の3点については予め決めておきたい事項です。

離婚協議の際に予め決めておきたい3つの財産

 

①財産分与(一緒に暮らしていた時に貯めていた財産を分けること)
②慰謝料(離婚原因を作った側に損害を求めること)
③年金分割

以下、①〜③について見ていきましょう。
 

財産分与

最近では、ご夫婦でともに生活に必要な費用を出し合い、別々に収入を管理している方も多いですが、日本では、婚姻の届出時に「夫婦財産契約」(婚姻した後も、夫婦の財産は別々とする。)という契約をし、「登記」をしなければ(民法757条)、「共有財産」とされます(民法762条2項)。
 
このような登記をされてらっしゃらないご夫婦が大半のことと存じます。
つまり、当事者同士で「お財布は結婚後も別々にしていたから、離婚するときもそのままにしておこう」という合意ができなければ、財産分与は、法律上、原則として、「婚姻時から別居時の財産は、原則1/2」となります。
 
具体的には、結婚後貯めたお金で買った夫の単独名義の自宅が1000万円の価値があるとすれば、妻は名義に関係なく500万円の分与を受けることができます。
 
また、結婚後ためていた夫婦の預金は、名義に関係なく別居時の金額を基準に折半となります。
 
さらに、結婚後かけていた貯蓄型の保険も、別居時に解約したらいくらになるかという解約返戻金の額を基準に、名義や受取人に関係なく、折半になります。
 
この2分の1ルールの例外が、「婚姻前に貯めていた金員」や「親から相続した財産」などです。これを、「特有財産」といいます(民法762条1項)。この特有財産は、結婚後、夫婦で協力して貯めた金員ではないので、財産分与の対象外となります。
 
とはいえ、自宅を買うときに妻の親に1000万円頭金を援助してもらったのにこれは返してもらえないの?子供名義のお金や保険まで2分の1になるの?などと悩みがあると思います。これは別の章でお話しします。
  
(基本的には、財産は2分の1になるので、離婚を考えているものの夫や妻の財産が分からないという方は、別居前に夫や妻がどんな財産を持っているのか、調査が必要な場合もあります
 
 

慰謝料

皆さんがすぐに思い浮かぶのは、不貞の慰謝料、暴力の慰謝料ではないでしょうか。
 
離婚の慰謝料は「相手方の有責・不法な行為によって離婚するのがやむを得えないことに至ったこと」によって発生し、身体的な損害だけでなく、精神的損害ももちろん含まれます。
 
では、モラハラはどうでしょうか?セックスレスはどうでしょうか?
 
どちらも、相手方が精神的に傷ついていることに変わりありませんよね。
慰謝料を請求し、それが認められるには、裁判では証拠が必要になります。
モラハラでは、どのくらいの期間、どのような場面で、どのような発言、圧迫があったか。セックスレスも、どのくらいの期間、どのように話し合ったかなどです。
 
録音は一番の証拠になりますが、日記やSNSにつけるだけでもいいので、苦しんでいたことをいつか証拠として有益に使えるよう、「いつ、どこで、なにがあったか」を継続的にメモとしてしておくことをお勧めします。
 
 

年金分割

婚姻期間中の年金も、分割されます。
 
一緒に生活しているときにかけていた年金なので、これも共有財産になるという理解です。専業主婦でも同じです。
 
年金分割の割合は、基本的に0.5です。
 
「年金分割のための情報通知書」というのが、年金事務所でもらえますから、一度確認し、ご自身の方が相手方より年金の掛金が少ない時は、離婚時に取り決めるのを忘れないようにしてください。

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